Dubbing

本作は、複数の箇所より集められた日用品から石膏像を作り、部屋の風景として再構成して撮影した作品です。
複製された石膏像は日用品としての機能は失われ、ただの塊となってしまっておりますが、物として実在はしていても
何の役にも立たない意味の無いものへと変容した姿は、虚像とも言えるのではないかと思います。

 

長年使用されていく中で付いた傷や汚れなど物に記憶が刻まれていく様に、石膏像にもその記憶は写し取られますが、
石膏はとても壊れやすい素材であり、それは人の記憶の脆さや虚像の危うさに通じます。

 

私はこれまで影を作品の主な題材にしてきましたが、影は実体が無く形のみが存在する虚像であり、本作「Dubbing」においては、
この虚像という共通項を軸として、実体の無い影から実体のある石膏像にモチーフを変化させました。
そして、その複製像をコピーとしての機能を持つ「写真」で写し出すという二重構造の作品となっています。